のどの痛みや発熱、声のかすれなどの症状があると、「扁桃炎?咽頭炎?喉頭炎?」と迷う方も多いでしょう。
これらはいずれも「上気道炎(じょうきどうえん)」と呼ばれる疾患の一種で、炎症が起こる部位によって名称や症状、治療法が異なります。
「扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎」の違いと特徴、治療のポイントをわかりやすく解説します。
扁桃炎
扁桃炎は、咽頭の奥にある左右の「口蓋扁桃(こうがいへんとう)」に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす病気です。突然の高熱や強い喉の痛みで始まることが多く、飲み込みづらさや全身の倦怠感を伴うこともあります。慢性化すると、のどの違和感や口臭、再発を繰り返すなど、日常生活に支障をきたす場合があります。
扁桃炎の種類
急性扁桃炎
急性扁桃炎は、細菌やウイルスによって扁桃に急激な炎症が起こる状態です。典型的な症状としては、高熱、激しいのどの痛み、扁桃の腫れや白い膿の付着が挙げられます。全身のだるさや頭痛を伴うことも多く、特に溶連菌感染による場合はリウマチ熱や急性腎炎など、重篤な合併症につながるおそれがあります。
慢性扁桃炎
慢性扁桃炎は、急性扁桃炎の炎症が完全に治りきらず、扁桃に慢性的な炎症が残った状態を指します。軽度の喉の違和感や乾燥感、口臭、飲み込みづらさなどの症状が続き、年に数回の発熱を繰り返すこともあります。免疫力の低下や睡眠不足、ストレスなどが再発の引き金となるため、生活習慣の見直しとともに、定期的な診察を受けることが望まれます。
扁桃炎の主な症状
- 高熱や発熱がある
- のどの痛みが強い
- 食欲が低下する
- のどの奥に白い膿や白苔が見える
- 口臭が強くなる
これらの症状が見られた場合、早めに医療機関を受診することが大切です。
扁桃炎の原因
扁桃炎の多くは、ウイルスや細菌の感染によって起こります。中でも「溶連菌(ようれんきん)」感染が原因となることが多く、発熱や強い痛みを引き起こします。
ウイルス性では風邪ウイルスによる軽度の炎症が多く、細菌性では溶連菌やブドウ球菌が強い炎症反応を起こすのが特徴です。
さらに、免疫力の低下や過労、睡眠不足、乾燥なども発症のきっかけになります。再発を防ぐためには、体調管理や生活習慣の改善も重要です。
扁桃炎の検査方法
診断は、問診と喉の視診を中心に行われます。扁桃の腫れや発赤、白苔の有無などを確認し、必要に応じて溶連菌などの細菌感染を調べます。再発を繰り返す場合や重症例では、血液検査で炎症反応を確認することもあります。これらの検査結果をもとに、ウイルス性か細菌性かを判断し、最適な治療方針を立てます。
扁桃炎の治療
薬物療法
扁桃炎の治療は、原因に応じて行われます。細菌性の場合は抗菌薬(ペニシリン系・セフェム系など)を使用し、炎症の拡大を防ぎます。ウイルス性の場合は、解熱鎮痛薬や抗炎症薬を用いて症状を緩和し、安静と水分補給を重視します。
手術療法
慢性扁桃炎で再発を繰り返す場合や、扁桃肥大による睡眠時無呼吸症候群がある場合には、扁桃摘出術が検討されます。手術の適応やタイミングは個々の症状によって異なるため、耳鼻咽喉科専門医による判断が必要です。
咽頭炎
咽頭炎は、口腔と食道・喉頭の間にある「咽頭(いんとう)」に炎症が生じる疾患です。のどの痛みや違和感、発熱、咳などの症状が現れ、主にウイルスや細菌の感染が原因となります。風邪の一症状として発症することも多く、軽症の場合は自然に治癒することもありますが、長引く場合や高熱を伴う場合には、耳鼻咽喉科での診察が必要です。
咽頭炎の種類
急性咽頭炎
急性咽頭炎は、ウイルスや細菌の感染により、短期間で咽頭粘膜に炎症が起こる病気です。主な原因は風邪ウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど)で、咽頭の痛み、発赤、軽い発熱が特徴です。細菌感染による場合には、喉の痛みが強く、扁桃炎と似た所見を呈することもあります。
慢性咽頭炎
慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が繰り返し発生したり、喫煙・飲酒・口呼吸・アレルギー・胃酸逆流などの刺激が続いたりすることで、咽頭粘膜が慢性的に炎症を起こした状態です。のどの乾燥感、異物感、「のどが張りつく」「何かが詰まっているような」不快感などの症状が続くのが特徴です。季節の変わり目や乾燥時期に悪化しやすく、長期間続く場合は生活習慣の改善と専門的な治療が必要です。
咽頭炎の主な症状
- のどの痛みやヒリヒリ感
- 飲み込み時の違和感
- 咳や痰が出る
- 声のかすれ
- 発熱や倦怠感
- のどの乾燥感・異物感
症状が数日で軽快しない場合や、発熱が続く場合は、細菌感染の可能性があるため受診をおすすめします。
咽頭炎の原因
咽頭炎の多くは、ウイルス感染が原因です。風邪ウイルスやインフルエンザウイルスなどが咽頭粘膜に感染し、炎症を起こします。
一方、細菌性咽頭炎では、溶連菌や肺炎球菌、ブドウ球菌などが関与し、より強い痛みや高熱を伴う傾向があります。
また、空気の乾燥や過度な声の使用、喫煙、アレルギー、胃食道逆流症(GERD)なども慢性咽頭炎の発症要因となります。
咽頭炎の検査方法
咽頭炎の診断は、問診と視診によって行われます。咽頭の発赤や腫れ、膿の付着の有無を確認し、必要に応じて溶連菌などの感染を調べます。長引く場合や慢性化が疑われる場合には、血液検査や喉頭ファイバーによる観察を行うこともあります。
咽頭炎の治療
薬物療法
ウイルス性咽頭炎では、解熱鎮痛薬や抗炎症薬で症状を和らげ、十分な水分摂取と安静が基本です。細菌感染が確認された場合は、抗菌薬(ペニシリン系やマクロライド系など)を使用します。喉の炎症を抑えるトローチやうがい薬も併用することで、回復を早める効果が期待できます。
生活療法
慢性咽頭炎の改善には、生活環境の見直しが欠かせません。禁煙・節酒、室内の加湿、十分な睡眠と栄養補給を心がけることで、炎症の再発を防ぐことができます。また、胃酸の逆流が関係する場合は、消化器内科と連携した治療が有効です。
咽頭炎はうつる?
咽頭炎の多くはウイルス性のため、飛沫感染や接触感染で他人にうつる可能性があります。特に咳やくしゃみをする際はマスクを着用し、手洗い・うがいを徹底することが大切です。家庭内や職場での感染拡大を防ぐためにも、発症時は無理をせず安静を保ちましょう。
喉頭炎(こうとうえん)
喉頭炎は、声帯を含む「喉頭(こうとう)」に炎症が生じる疾患で、主な症状は声のかすれ(嗄声:させい)やのどの痛み、咳などです。ウイルスや細菌感染、声の使いすぎ、喫煙、乾燥などが原因で発症します。重症化すると呼吸がしづらくなることもあり、特に小児や高齢者では注意が必要です。早期の治療と声の安静が回復の鍵となります。
喉頭炎の種類
急性喉頭炎
急性喉頭炎は、ウイルスや細菌による感染、または声の酷使などが原因で、喉頭粘膜が急に炎症を起こす病気です。
声がかすれる、のどの痛み、咳、発熱などが主な症状で、声を無理に出すと悪化しやすくなります。
ウイルス性が多いものの、細菌性の場合は膿の付着や強い腫れを伴うこともあります。声の安静を保ち、適切な治療を受けることが重要です。
慢性喉頭炎
慢性喉頭炎は、急性喉頭炎を繰り返したり、喫煙・大声・乾燥・胃酸の逆流など、長期間の刺激が続くことで起こります。
声が出にくい、かすれる、のどの異物感、咳払いが増えるなどの症状が慢性的に続きます。
声帯の粘膜が厚くなる「声帯肥厚」や「声帯結節」を伴うこともあり、職業的に声を多く使う人(教師・歌手など)に多く見られます。
喉頭炎の主な症状
- 声がかすれる・出にくい(嗄声)
- のどの痛みや違和感
- 咳や痰が出る
- 発熱や倦怠感
- のどが乾燥しやすい
- 息苦しさ(重症時)
声を出す仕事の方や、風邪のあとに声が出づらくなった場合は、早めの受診が大切です。
喉頭炎の原因
喉頭炎の原因は、ウイルス感染が最も多く、風邪ウイルスやインフルエンザウイルスによって声帯が炎症を起こします。また、細菌感染による場合は炎症が強く、膿が付着して呼吸困難を引き起こすこともあります。
そのほか、声の使いすぎ、喫煙、飲酒、空気の乾燥、アレルギー、胃酸逆流などの刺激も慢性化の要因となります。
原因を正確に見極めることで、再発防止につながります。
喉頭炎の検査方法
診断は、問診と耳鼻咽喉科での喉頭ファイバースコープ検査によって行われます。喉頭や声帯の腫れ、赤み、膿の有無を確認し、必要に応じて細菌培養検査や血液検査を行います。声のかすれが長引く場合は、声帯ポリープや腫瘍など、ほかの疾患を除外するための精密検査が行われることもあります。
喉頭炎の治療
薬物療法
ウイルス性喉頭炎では、対症療法が中心となり、解熱鎮痛薬や消炎薬、吸入治療などを用いて炎症を抑えます。細菌感染が疑われる場合は、抗菌薬を使用します。乾燥を防ぐために、室内の加湿や十分な水分補給も有効です。
声の安静と生活療法
声の使いすぎを避け、できる限り発声を控えることが大切です。
喫煙や飲酒は炎症を悪化させるため、治療中は控えましょう。
慢性喉頭炎では、胃酸逆流が原因となっているケースもあり、食生活の見直しや内服治療が行われることもあります。
喉頭炎はうつる?
喉頭炎の多くはウイルス性のため、飛沫感染や接触感染によって他人にうつる可能性があります。
特に風邪を引いた直後やインフルエンザ流行時期には注意が必要です。
感染拡大を防ぐため、咳エチケット・マスクの着用・手洗いを徹底し、体調が回復するまでは無理な発声を避けましょう。