扁桃・アデノイドが肥大する
扁桃(へんとう)とアデノイドはいずれも「リンパ組織」で、体に侵入した細菌やウイルスを防ぐ免疫のはたらきを担っています。これらが何らかの原因で過剰に肥大(大きくなる)と、呼吸や飲み込み、睡眠などに支障をきたすことがあります。特に子どもの場合、免疫機能が発達途中であるため肥大しやすく、いびき・口呼吸・鼻づまり・集中力低下などの原因になることがあります。
扁桃肥大
扁桃肥大は、のどの奥にある「口蓋扁桃(こうがいへんとう)」が通常よりも大きくなった状態を指します。子どもに多く見られますが、大人でも慢性的な炎症やアレルギー、喫煙などが原因で起こることがあります。
主な症状
- いびきや無呼吸(睡眠時無呼吸症候群)
- 声がこもる・飲み込みにくい
- のどの違和感・異物感
- 風邪を引きやすい
- 扁桃炎を繰り返す
肥大した扁桃が気道を圧迫すると、睡眠中の呼吸障害やいびき、集中力の低下などにつながることがあります。
原因
感染(扁桃炎の繰り返し)や免疫反応の過剰、体質的な要因が関係しています。
アレルギー体質や鼻閉(鼻づまり)による口呼吸が続くことも、慢性的な刺激となり肥大を助長します。
診断・検査
耳鼻咽喉科での視診・喉頭ファイバー検査で扁桃の大きさや炎症の有無を確認します。
睡眠中の無呼吸が疑われる場合は、睡眠ポリグラフ検査(睡眠検査)を行うこともあります。

視診・咽頭ファイバー検査の様子
睡眠時無呼吸検査に用いる検査機器
アデノイド肥大
アデノイド肥大は、鼻の奥(鼻咽腔)にある「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」が肥大した状態です。主に3〜8歳の子どもに多く、成長とともに縮小することが一般的です。しかし肥大が強い場合は、鼻づまり・いびき・口呼吸などの症状が続くことがあります。
主な症状
- 鼻づまり・鼻声(声が鼻にかかる)
- 口呼吸(常に口を開けている)
- 睡眠中のいびき・無呼吸
- 集中力の低下・日中の眠気
- 中耳炎を繰り返す
鼻と耳をつなぐ耳管の近くにアデノイドがあるため、肥大すると耳管の通気性が悪くなり、滲出性中耳炎を起こすことがあります。
原因
ウイルス・細菌感染の反復、アレルギー体質、遺伝的要素などが関係します。
特に幼少期は免疫が活発なため、感染後に一時的な肥大を示すこともあります。
診断・検査
耳鼻咽喉科でファイバー(内視鏡)を用いてアデノイドの大きさを確認します。
レントゲン検査や鼻咽腔内視鏡検査で、鼻の通り具合や中耳への影響も評価します。
視診・咽頭ファイバー検査の様子

レントゲン室
扁桃肥大とアデノイド肥大の違い・共通点
両者は部位が異なりますが、どちらも「上気道の狭窄」を引き起こし、睡眠や発声に影響を及ぼす点で共通しています。特に扁桃肥大とアデノイド肥大が同時に起こると、いびきや無呼吸がより強く出ることがあります。
| 症状 | 考えられるリスク |
|---|---|
| 黄色い鼻水が2週間以上続く | 慢性副鼻腔炎 |
| 顔の痛み・重だるさ | 副鼻腔に膿がたまっている |
| 発熱や倦怠感 | 感染の広がり |
| 子どもが苦しそう | 中耳炎や喉への波及 |
扁桃肥大・アデノイド肥大の治療・手術
保存的治療(経過観察・薬物療法)
軽度の場合は、まず経過観察を行います。感染やアレルギーのコントロール、鼻呼吸の改善、生活習慣の見直しが中心となります。
抗炎症薬や抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイドなどを用いて炎症や鼻づまりを和らげることもあります。
また、乾燥を防ぎ、口呼吸を改善するために鼻うがいや加湿を取り入れることも効果的です。
手術療法(連携医療機関へのご紹介)
重度の扁桃肥大・アデノイド肥大により、睡眠時無呼吸・中耳炎の反復・発達や集中への影響がみられる場合には、手術(摘出術)が適応となることがあります。代表的な手術には以下のようなものがあります。
扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ)
口蓋扁桃を切除し、呼吸や嚥下の改善を図る手術
アデノイド切除術(アデノイドせつじょじゅつ)
鼻咽腔のアデノイドを切除し、鼻づまりや中耳炎の改善を目指す手術
※当院では手術は行っておりませんが、必要と判断した場合には、信頼できる連携医療機関(耳鼻咽喉科専門病院・総合病院)をご紹介いたします。手術の適応や時期についても、まずは当院での診察・評価のうえでご案内いたしますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。