いびきって病気?
「いびきなんて誰でもかくもの」と思われがちですが、実はそうとも限りません。
いびきは、眠っている間に 空気の通り道(上気道)が狭くなって、鼻や喉の粘膜が震える音。
一晩だけの一時的なものなら心配はいりませんが、習慣的に続く場合は耳鼻科の領域で診るべき「症状」のひとつです。耳鼻科でよく見られる原因は、例えばこんなものです。
- 鼻の通りが悪い:鼻中隔が曲がっている、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で鼻づまりがある
- 喉が狭い:扁桃肥大やアデノイド肥大(子どもに多い)、軟口蓋がたるんでいる
- 生活習慣:体重増加、飲酒、仰向け寝などで気道が狭くなる
いびきが続くと睡眠が浅くなり、昼間の眠気や疲れにつながるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群のサインであることもあります。「音が大きい」「呼吸が止まっていると言われた」「朝起きても疲れがとれない」、こうした場合はいびきを放っておかず、耳鼻咽喉科に相談することをおすすめします。
耳鼻科でみる「いびきの原因」
いびきとひとことで言っても、その背景は人によってさまざまです。耳鼻科で診ることが多いのは、鼻の通り道の問題と喉の構造の問題。
それぞれの特徴を整理してみましょう。
鼻が原因のいびき
鼻が詰まってうまく空気が通らないと、自然に口呼吸になり、いびきが出やすくなります。
アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
慢性的な鼻づまりで寝ている間も口呼吸に。花粉症や風邪のあとにいびきが増えることも。
鼻中隔弯曲(びちゅうかくわんきょく)
鼻の仕切り(鼻中隔)が曲がっていて、片側の通り道が狭い状態。鼻呼吸がしづらく、慢性的ないびきにつながります。
喉が原因の「のどいびき」
喉のスペースが狭い、あるいは喉の組織が振動することで音が出ます。
扁桃肥大・アデノイド肥大
子どもに多いタイプ。扁桃腺やアデノイドが大きいと、気道が物理的に狭くなっていびきに。
軟口蓋(なんこうがい)や舌の形
のどちんこ周囲がたるんでいる、舌が大きい、舌の位置が後ろに下がることで気道が狭くなり、音が響きやすくなります。
その他(耳鼻科で関与できる部分)
鼻や喉以外でも、耳鼻科で確認しておきたい原因があります。
舌根沈下(ぜっこんちんか)
あお向けで寝ると舌の付け根が喉の奥に落ち込み、気道をふさいでしまう状態。肥満や飲酒後に多く見られます。
ポリープや腫瘍
鼻や喉にできたできものが空気の通り道をふさぎ、いびきや無呼吸の原因になることがあります。
耳鼻科で行う検査と治療
検査
鼻内視鏡検査
内視鏡で鼻や喉を直接観察し、いびきの原因部位(鼻づまり、扁桃肥大、舌の沈下など)を確認。
治療
薬物治療
鼻炎や副鼻腔炎には抗アレルギー薬・点鼻薬など。
ネブライザーによる治療
ネブライザーによる治療

ジェット式ネブライザー

超音波式ネブライザー
当院では、耳鼻咽喉科専用のネブライザー(吸入器)として、ジェット式ネブライザーと超音波式ネブライザーの2種類を導入しています。ジェット式ネブライザーは、薬剤を微細な粒子として噴霧し、鼻の奥や副鼻腔までしっかり届けやすいのが特徴で、 鼻づまりや副鼻腔炎(蓄膿症)など、鼻の症状の改善に特に効果が期待できます。
超音波式ネブライザーは、やさしい霧状の吸入が特徴で、主に喉(のど)の炎症や不快感に有効です。
いびきの原因は、鼻・のどの状態など複数の要因が関与していることが多いため、
当院では症状や炎症の部位に応じてこれらの機器を使い分け、気道環境を整える治療を行っています。
吸引処置
鼻水や膿性分泌物を取り除き、鼻の通りをよくする。
レーザー治療
アレルギー性鼻炎などで腫れた粘膜をレーザーで処置し、通気を改善。
CPAP療法
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合に導入。睡眠中に気道を広げ、無呼吸やいびきを防ぐ。
👉耳鼻科では「鼻の通りを改善する治療」と「喉の構造を見極める検査」が主役です。
生活習慣や体質が影響するいびきでも、耳鼻科的なアプローチで大きく改善するケースは多いです。
いびきで受診を検討すべきサイン
いびき自体は誰にでも起こりうる現象ですが、次のような場合は「病気のサイン」と考え、耳鼻咽喉科での診察をおすすめします。
大きないびきで家族に迷惑をかける
- 隣の部屋まで響くような大きさは、気道が慢性的に狭くなっている可能性があります。
- 「疲れているときだけ」ではなく、毎晩続くようなら要注意です。
睡眠中の無呼吸や日中の強い眠気
- 家族から「寝ている間に息が止まっている」と言われたことがある。
- 朝起きても疲れが取れず、仕事中や運転中に強い眠気に襲われる。
→ 睡眠時無呼吸症候群の典型的なサインです。放置すると高血圧・心筋梗塞・脳卒中など命に関わる病気につながることがあります。
子どものいびき
- 子どものいびきは「かわいい」で済ませず注意が必要です。
- 扁桃肥大やアデノイド肥大が原因で、学習への集中力や発育、顔の骨格の成長に影響することがあります。
- 成長期の子どものいびきは、耳鼻科でのチェックがとても大切です。
いびきが急に悪化した
- 今まで軽かったいびきが突然大きくなった。
- 片側だけ鼻が詰まる、血が混じるなどの症状を伴う。
→ 鼻や喉にポリープや腫瘍ができている可能性もあり、早期発見が重要です。
生活に支障をきたしている
- 起床時に頭痛や喉の渇きが強い。
- 集中力が続かず、日常生活や仕事のパフォーマンスに影響している。
- いびきが原因で同室の家族が眠れず、人間関係にもストレスが出ている。
いびきに関するよくある質問
いびきを自力で治す方法はありますか?
生活習慣の見直しが有効です。減量・禁煙・飲酒を控える・横向きで寝るなどで改善するケースがあります。ただし、鼻の構造や扁桃肥大などが原因の場合は耳鼻科での治療が必要です。
いびきはよく眠っている証拠ですか?
残念ながら逆です。いびきは気道が狭くなり、呼吸に負担がかかっているサインです。睡眠の質が下がっている可能性があるため、決して「熟睡の証拠」ではありません。
いびき治療は保険がききますか?
鼻炎や副鼻腔炎の治療、扁桃摘出手術、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療など、原因に応じた治療は健康保険の対象になります。自由診療だけでなく保険診療で対応できる部分が多いので、まずは耳鼻科で相談を。
危険ないびきの見分け方は?
「大きくて毎晩続く」「息が止まる」「日中の眠気や頭痛が強い」「子どもがかいている」「急に悪化した」などは注意が必要です。放置すると心臓・脳の病気につながるリスクもあります。
大人になってからいびきをかくようになりました、原因は?
加齢による筋力低下、体重増加、鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔弯曲などが考えられます。突然悪化した場合は腫瘍などの病気もまれに隠れているため、一度検査をおすすめします。
疲れているといびきをかきやすくなるのはどうして?
疲労や睡眠不足で筋肉がゆるむと、喉や舌の付け根が気道を塞ぎやすくなります。また、深酒のあとも同じ理由でいびきが強くなります。