耳が痛い・耳の奥が痛い
耳は、鼓膜や耳小骨、内耳など繊細な器官が集まった非常に敏感な場所です。耳が痛むとき、多くの人が「ズキズキする」「圧迫感がある」「中から響くように痛い」と表現します。
こうした痛みは、耳の中のどこかに異変が起きているサインであり、軽い違和感から日常生活に支障をきたすほど強い痛みまでさまざまです。 耳の痛みは、外耳・中耳・内耳といった耳そのものの問題だけでなく、のどや顎の不調、さらには全身状態とも関係して現れることがあります。
たとえば、のどの炎症や顎関節の不調が耳の痛みとして感じられることもあります。こうした特徴から、耳の痛みは単なる局所症状ではなく、体全体の健康状態を知る手がかりになることもあるのです。
耳が痛くなる原因は?
耳の痛みには、耳そのものに問題がある場合と、耳以外の部位から痛みが伝わっている場合があります。 耳の奥にズキズキとした痛みを感じると、多くの方は「耳の中に炎症があるのでは?」と考えますが、実際には耳以外の病気が原因となっているケースも少なくありません。
耳の痛みを訴える患者さんの約半数は、耳自体に異常が見つかりません。これは、耳には複数の神経が分布しており、のどや顎、首など離れた部位の異常が耳の神経を通して「耳の痛み」として感じられるからです。これを放散痛(ほうさんつう)と呼びます。
つまり、「耳が痛い」と感じるとき、必ずしも耳の病気とは限らないということです。耳そのものの異常なのか、それとも耳以外からの痛みなのかを見極めることが、正しい診断と治療への第一歩となります。
耳が痛いときに考えられる疾患
ここでは、「耳が痛い」ときに考えられる代表的な疾患をまとめます。
耳に原因がある場合
急性中耳炎・外耳炎
耳の痛みの原因として最も多いのがこの2つです。急性中耳炎では耳が聞こえにくくなることが多く、外耳炎では耳の外側(耳介)を引っ張ると痛みが強くなるのが特徴です。
硬い耳垢や外耳道異物
小さな耳垢が鼓膜に接触すると、動くたびに痛みや違和感を感じます。髪の毛や小さな虫が入り込むケースもあり、動く異物は痛みだけでなく「耳の中で音がする」などの訴えを引き起こします。
のどに原因がある場合
扁桃炎・上咽頭炎
のどの奥の炎症が耳の痛みとして感じられることがあります。発熱やのどの痛みを伴い、耳に異常が見られない場合は、内視鏡で鼻や咽頭を確認して診断します。
耳以外の部位に原因がある場合
顎関節症
口を開けると痛みが増すのが特徴で、顎の関節に炎症や異常があると耳の痛みとして感じます。
耳下腺炎(おたふくかぜ含む)
耳の下の唾液腺が腫れ、食事時に痛みが強まります。
舌咽神経痛・口内炎
激しい痛みが発作的に出る舌咽神経痛や、舌の奥の口内炎も耳の痛みとして感じられることがあります。
耳が痛いときの治療と応急処置
耳の痛みの治療は、原因疾患によって大きく異なります。耳鼻咽喉科では、まず耳の中や鼓膜を詳しく観察し、必要に応じて聴力検査や内視鏡検査を行って原因を特定します。その上で、薬物治療・処置・生活指導を組み合わせて症状を改善していきます。
主な治療
抗菌薬・抗炎症薬による治療
急性中耳炎や細菌性外耳炎では、抗生物質の内服や点耳薬、消炎鎮痛剤を用います。特に小児の中耳炎では、適切な抗生物質の選択と投与期間が重要です。
鼓膜切開・排膿処置
膿がたまって鼓膜が強く張っている場合、局所麻酔のうえで鼓膜を小さく切開し、膿を排出します。これにより痛みが急速に軽減し、発熱も下がりやすくなります。
耳内清掃
外耳道が耳垢や膿で塞がっている場合は、顕微鏡下で丁寧に清掃を行い、薬剤が届きやすい状態にします。
抗真菌薬の投与
外耳道真菌症の場合は、耳道の洗浄と抗真菌薬の点耳を行います。
自宅でできる応急処置
受診まで時間がかかる場合や夜間に痛みが強い場合は、次の方法で一時的に症状を和らげられます。
鎮痛薬の服用
アセトアミノフェン(カロナール、タイレノール)やイブプロフェン(イブ、ブルフェン)、ロキソプロフェン(ロキソニン)などを使用すると痛みが和らぎます。空腹時は胃を荒らさないよう注意しましょう。
耳の冷却
保冷剤や冷たいタオルをタオルで包んで耳にあてると、炎症による熱感と痛みが落ち着きます。
耳を清潔に保つ
耳だれが出ているときはガーゼでやさしく拭き取り、耳の中を綿棒で刺激しないことが大切です。
耳の痛みに関するよくある質問
耳が痛いだけでなく、聞こえにくいのは病気?
耳の痛みに加えて聞こえが悪くなっている場合、急性中耳炎や滲出性中耳炎、重度の外耳炎など、耳の中で音の通り道が塞がれている可能性があります。特に急性中耳炎では、中耳腔に膿がたまることで鼓膜の動きが制限され、難聴が起こります。放置すると慢性化や鼓膜穿孔につながることもあるため、早期の耳鼻科受診が必要です。
ストレスで耳が痛くなることはある?
ストレスそのものが耳の痛みを直接引き起こすことは少ないですが、ストレスによって歯ぎしりや食いしばりが強くなると顎関節に負担がかかり、耳の周囲に痛みが出ることがあります。また、自律神経の乱れで血流が悪化すると、耳の違和感や耳鳴り、軽い痛みを感じる方もいます。生活習慣の見直しやリラックス法が有効な場合があります。
耳の痛みと一緒にめまいがある場合は?
耳とバランス感覚は密接に関係しています。めまいを伴う耳の痛みは、内耳の炎症(内耳炎)、前庭神経炎、突発性難聴、場合によっては顔面神経麻痺を伴う重症の帯状疱疹などが考えられます。耳痛+めまいは緊急度が高い場合があるため、早急に耳鼻咽喉科を受診してください。
イヤホンのしすぎで耳が痛くなるのはなぜ?
長時間イヤホンを使用すると、外耳道の皮膚が圧迫されたり蒸れたりして炎症を起こすことがあります。また、大音量で音楽を聴き続けると、内耳への負担が増え、一時的に耳が痛い・詰まった感じがすることがあります。対策としては、1時間に10分程度の休憩をとる・音量は会話が聞き取れる程度に抑えることが推奨されます。
飛行機で耳が痛くなるのは病気?
飛行機の離着陸時に耳が痛くなるのは、多くの場合「航空性中耳炎」や耳管の換気障害によるものです。病気ではなく一時的な圧力変化による現象ですが、風邪や鼻炎で耳管が詰まっていると強い痛みが出やすくなります。予防には、離着陸時にあくびや唾を飲む・ガムをかむ・鼻の通りをよくしておくことが有効です。症状が強く繰り返す場合は耳鼻科で耳管機能を確認してもらいましょう。