鼻づまりとは?
鼻づまりは、鼻の通り道(鼻腔)が何らかの原因で狭くなり、空気の流れが悪くなる状態を指します。単なる不快感にとどまらず、次のような影響を及ぼします。
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- 息がしづらく、集中力や作業効率が低下する
- 口呼吸によって喉が乾燥し、いびきや睡眠の質が悪化する
- 子どもでは成長や発育に影響することもある
鼻呼吸には、吸い込んだ空気を温め・加湿し・ろ過するという大切な役割があります。
そのため、鼻づまりが続くと脳への酸素供給が不足し、頭が重い・だるい・集中できないなど全身症状につながることもあります。
「鼻が詰まっているだけ」と放置すると、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎、さらには睡眠時無呼吸症候群の一因になることもあります。
鼻づまりの原因
鼻づまりの原因はひとつではなく、粘膜の腫れ・構造のゆがみ・炎症・ポリープ・薬の使いすぎなど、複数の要素が組み合わさっていることがほとんどです。鼻づまりが続く場合、原因を正確に見極め、それぞれに合った治療を行うことが大切です。以下に、代表的な原因を紹介します。
鼻中隔のゆがみ(鼻中隔湾曲症)
鼻の内部には、左右を隔てる「鼻中隔」という壁があります。
この壁が生まれつき、あるいは成長過程や外傷などで曲がると、片側の鼻腔が狭くなり、慢性的な鼻づまりを引き起こします。
特に片側だけ詰まる場合は、この鼻中隔の曲がりが関係していることが多いです。
また、空気の通りが悪くなることで副鼻腔(額や頬の空洞)の換気が滞り、副鼻腔炎(蓄膿症)を併発するケースもあります。
下鼻甲介の腫れ(肥厚性鼻炎)
鼻の中の壁(鼻甲介)には、上・中・下の3層があり、そのうち最も大きな「下鼻甲介」は、空気の流れを調整する役割を持ちます。
アレルギー(花粉・ハウスダスト・ダニなど)や寒暖差の刺激を受けると、この粘膜が腫れて通り道が狭くなり、鼻づまりを起こします。
抗アレルギー薬や点鼻ステロイドで腫れを抑えることはできますが、症状を一時的に軽くするだけで、根本治療ではありません。
また、市販の点鼻薬(血管収縮薬)は即効性がありますが、長期間の使用でかえって粘膜が腫れる「薬剤性鼻炎」を引き起こすことがあります。「鼻づまりが治らない」ケースの多くは、この薬剤性鼻炎が関係しています。
鼻茸(はなたけ/鼻腔ポリープ)
鼻茸とは、副鼻腔炎などで鼻粘膜がぷくっと膨れ、ポリープ状になった状態を指します。
焼いたお餅のように柔らかく、空気の通り道をふさぐため、強い鼻づまりや嗅覚障害(匂いや味がしない)を引き起こします。
一度できてしまうと自然に小さくなることは少なく、薬で改善しない場合は内視鏡手術で切除することもあります。
感染症(風邪・急性鼻炎)
風邪やウイルス感染で鼻粘膜が炎症を起こすと、一時的に鼻が詰まります。
このとき鼻水が増え、通り道をさらに狭めるため、息苦しさを感じやすくなります。
通常は1週間ほどで改善しますが、2週間以上続く場合や頭痛を伴う場合は副鼻腔炎を疑いましょう。「鼻づまり+頭痛+黄色い鼻水」は、耳鼻科受診の目安です。
アレルギー鼻炎
花粉、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲンに対して、鼻の粘膜が過敏に反応して腫れ、鼻づまりを引き起こします。
「鼻水が止まらない」「くしゃみが多い」「朝だけ鼻づまりがひどい」場合は、アレルギー性鼻炎の可能性が高いです。
季節性(花粉症)と通年性(ダニ・ハウスダスト)に分かれ、放置すると慢性副鼻腔炎や嗅覚障害につながることもあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻の奥にある副鼻腔に膿がたまる病気で、鼻づまりが長引く代表的な原因です。
膿性(黄色〜緑色)の鼻水が続き、頭が重い・顔が痛い・匂いがしないなどの症状を伴います。
慢性化するとポリープ(鼻茸)ができ、空気の通り道を完全にふさいでしまうことも。
抗菌薬・点鼻ステロイド・ネブライザー療法などで炎症を抑え、再発を防ぐ治療を行います。
点鼻薬の使いすぎ(薬剤性鼻炎)
市販の点鼻薬に含まれる血管収縮成分は、短期間なら有効ですが、長く使うと逆効果になります。
粘膜が「薬がないと腫れてしまう」状態になり、慢性的な鼻づまりを繰り返すのが特徴です。
「市販薬を使っても効かない」「止めたら余計に詰まる」という場合は、薬剤性鼻炎の可能性が高いです。
構造的な異常や腫瘍
日本人の約8割は、程度の差はあれど鼻中隔が曲がっているといわれています。
このため、片側だけが常に詰まりやすいという人も少なくありません。
また、まれに鼻腔内の良性・悪性腫瘍が空気の通り道をふさぎ、鼻づまりの原因となることもあります。
片側だけ詰まる・血の混じった鼻水が続く場合は、必ず耳鼻科での検査が必要です。
鼻の中の異物(特に小児)
子どもの鼻づまりで意外と多いのが「異物の詰まり」です。
豆・おもちゃ・食べ物のかけらなどが鼻に入ると、鼻水が増えて悪臭を伴うこともあります。
大人でも、ほこりや汚れが固まった“鼻くそ”が物理的に通りをふさいでいる場合があります。
片側だけの鼻づまりや悪臭を感じる場合は、異物の可能性も考えましょう。
耳鼻科で行う鼻づまり治療
薬物治療
鼻づまりの原因に合わせて、以下の薬を使い分けます。
抗アレルギー薬(内服)
アレルギー性鼻炎による腫れや炎症を抑える
点鼻ステロイド薬
鼻粘膜の腫れを直接改善する。長期使用しても比較的安全
抗菌薬・去痰薬
副鼻腔炎(蓄膿症)や感染による粘り気のある鼻水を改善
※市販の点鼻スプレー(血管収縮薬)は即効性がありますが、1〜2週間以上の連用で「薬剤性鼻炎」を起こすリスクがあります。「効かなくなった」「使わないと余計に詰まる」と感じたら、医師に相談しましょう。
ネブライザー療法
薬液を霧状にして鼻や喉に届ける治療法です。 抗炎症薬や抗菌薬を含む蒸気を吸入することで、 粘膜の腫れをやわらげ・鼻水を排出しやすく します。小児でも受けられ、副作用が少ない安全な治療です。
ジェット式ネブライザー
超音波式ネブライザー
鼻水吸引
特にお子さんや高齢者では、自力で鼻をかむのが難しいことがあります。
耳鼻科では専用の吸引器を用いて、鼻の奥にたまった鼻水や膿をしっかり除去します。
「鼻づまりがすぐ戻る」方も、この処置で呼吸が一気に楽になることがあります。
構造的な異常に対する処置
鼻中隔湾曲症や肥厚性鼻炎など、構造的な問題がある場合には、
レーザー治療や粘膜焼灼術など、鼻の通り道を広げる手術で根本改善を目指します。
自宅でできる鼻づまり解消法
病院に行くほどではない軽い鼻づまり、あるいは治療中の補助としては、次のようなセルフケアが効果的です。
鼻うがい(鼻洗浄)
生理食塩水を用いて鼻の奥をやさしく洗い流します。
鼻水や花粉・ハウスダスト・雑菌を取り除き、粘膜の炎症を軽減します。
- 市販の鼻うがいキットを使うと簡単で安全
- 水道水をそのまま使うのは避け、必ず専用液か生理食塩水を使用
- 1日1〜2回、寝る前の実施が効果的
鼻づまりが続く人の多くは、鼻腔内に粘着性の鼻水や炎症性物質が残っているため、
鼻うがいを続けることで自然に呼吸がしやすくなります。
鼻を温める
電子レンジで温めた蒸しタオルを鼻の付け根にあてたり、
やかんの蒸気をやけどしない距離で吸入したりすることで、鼻粘膜の血流を促進します。
約1〜2分の温めで血管が拡張し、鼻づまりの一時的な解消が期待できます。
体を温める・お風呂に入る
体全体の血行を良くすると、鼻の血管が自然に収縮しやすくなります。
レッグウォーマー・ネックウォーマーで太い血管を温めるのも有効です。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、リラックス効果と自律神経の安定も得られます。
部屋を加湿する
乾燥は鼻粘膜の炎症を悪化させるため、室内の湿度を50〜60%程度に保ちましょう。
加湿器がない場合は、濡れタオルを干すだけでも効果があります。
寝る姿勢を工夫する
仰向けは鼻の血管がうっ血しやすく、詰まりを悪化させます。
枕を少し高くして上体を起こすと、鼻水が下に流れやすくなり呼吸がしやすくなります。
飲酒を控える
アルコールは血管を拡張させるため、鼻の粘膜が腫れて詰まりを悪化させます。
鼻づまりが強いときは、飲酒を控えるのが無難です。
よくある質問
寝ると鼻づまりが左右で入れ替わるのはなぜ?
夜、横になったときに「右を向くと右が詰まる」「左を向くと左が詰まる」という経験をされたことはありませんか。これは“生理的な鼻閉(びへい)”と呼ばれる自然な現象で、誰の体にも起こることです。横向きになると下側の鼻の血流が増え、粘膜がふくらみやすくなります。反対に上側の鼻は血流が減り、通りが良くなります。そのため、寝返りをうつたびに「どちらかの鼻だけが詰まる」ように感じるのです。ただし、片側だけが常に詰まっている場合や、強い鼻づまりが続く場合は注意が必要です。鼻の中の仕切りである鼻中隔が曲がっていたり、アレルギーで粘膜が慢性的に腫れていたりする可能性があります。こうしたケースでは、自然に治ることは少ないため、耳鼻科での検査をおすすめします。
立つと鼻づまりが楽になるのはどうして?
立ち上がると鼻が通る──これは重力による血流の変化が関係しています。仰向けやうつ伏せの姿勢では、頭部に血液が集まり、鼻粘膜の血管も拡張してしまいます。ところが、体を起こすと血流が下に流れ、腫れていた粘膜が自然にしぼみます。寝ているときに鼻づまりが強い方は、枕を少し高くしたり、寝具の湿度を整えたりすると改善しやすくなります。加湿器がない場合は、濡れタオルを部屋に干すだけでも効果があります。
鼻づまりで頭が重いのは副鼻腔炎ですか?
鼻づまりに加えて頭が重い、顔がズーンと痛い、そんなときは副鼻腔炎(蓄膿症)の可能性があります。鼻の奥には「副鼻腔」と呼ばれる空洞があり、ここに炎症が起こると膿がたまって圧がかかります。その圧が顔や頭の重さとして感じられるのです。黄色や緑っぽい鼻水が続いたり、においがわかりにくくなったりしている場合は、抗菌薬やネブライザーなどの治療で改善します。放置してしまうと慢性化してポリープ(鼻茸)ができることもあるため、「頭が重い鼻づまり」が1〜2週間以上続く場合は、早めに受診するのがおすすめです。
子どもの鼻づまりは放っておいても大丈夫?
お子さんの鼻づまりは、できるだけ早く原因を調べたほうがよい症状のひとつです。小児の鼻づまりは、アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大(鼻の奥のリンパ組織の腫れ)が原因のこともあります。鼻づまりが長く続くと、口呼吸が習慣になりやすく、睡眠の質や歯並び、顔の成長にも影響することがあります。夜いびきをかく、口を開けて寝ている、朝起きてもぐったりしている――そんなサインがある場合は、耳鼻科でしっかり診てもらいましょう。