耳垢栓塞とは?

耳垢栓塞(じこうせんそく)とは、耳垢(耳あか)が耳の穴(外耳道)に詰まり、音の通り道をふさいでしまう状態のことです。耳垢は、外耳道にある耳垢腺や皮脂腺から分泌された成分と、ほこりや剥がれ落ちた皮膚片が混ざり合ってできるもので、外耳道を保護し、異物や細菌の侵入を防ぐ役割を持っています。
通常、耳垢は外耳道の自浄作用(皮膚が少しずつ外側に移動する働き)によって自然に排出されます。しかし、次のような状況では耳垢が奥に押し込まれてしまい、排出がうまくいかず耳垢がたまります。
- 綿棒や耳かきで頻繁に耳掃除をしている
- 耳垢が湿っていて粘り気が強い体質
- 外耳道が狭い、耳の形が奥まっている
- イヤホンや補聴器を長時間使用している
耳垢が蓄積すると外耳道が狭くなり、さらにお風呂やシャワーで耳垢が水分を吸って膨張すると、音の通り道が完全にふさがれ、急に聞こえが悪くなることがあります。これが耳垢栓塞です。
耳垢栓塞は誰にでも起こりうる
耳垢栓塞は特別な病気ではなく、子どもから大人まで誰でも起こる耳のトラブルです。特に、耳垢が湿性タイプの人や耳掃除の習慣がある人では発症しやすい傾向があります。
耳が詰まった感じや聞こえづらさを感じたときは、無理に自分で耳掃除をせず、耳鼻咽喉科で安全に耳垢を取り除いてもらうことが推奨されます。
耳垢栓塞の症状

耳垢栓塞では、耳垢が外耳道を塞ぐことで音の通り道がふさがれ、さまざまな症状があらわれます。特に耳垢が完全に詰まると、日常生活に影響が出るほどの聞こえづらさを感じることがあります。
耳の閉塞感・聞こえづらさ
耳垢が外耳道を塞ぐと、耳の奥がふさがったような圧迫感(耳閉感)を感じます。音の伝わりが悪くなるため、「テレビの音を大きくしないと聞こえない」「片耳だけこもった感じがする」といった難聴症状が現れます。特にお風呂やプールで耳に水が入った後、耳垢が膨らんで急に聞こえが悪くなるケースが多いです。
耳鳴り・自声強聴
耳垢で耳がふさがると、外部の音が聞こえにくくなる一方で、自分の声や咀嚼音、呼吸音が耳の中で響く「自声強聴(じせいきょうちょう)」が起こります。また、詰まりによる圧迫感で耳鳴りが生じることもあります。
のどの違和感や吐き気
耳と喉は神経でつながっているため、耳垢が詰まると人によっては喉の奥に違和感を覚えたり、胃の不快感・吐き気を感じる場合もあります。特に感覚が敏感な方やお子さまに見られやすい症状です。
耳垢栓塞の原因
耳垢栓塞(じこうせんそく)は、外耳道に耳垢が過剰にたまり、音の通り道をふさいでしまうことで起こります。通常、外耳道の皮膚には自浄作用があり、耳垢や老廃物は少しずつ耳の入り口方向へ移動して自然に排出されます。しかし、この働きがうまくいかないと耳垢が蓄積し、耳垢栓塞の原因になります。
主な原因
耳垢栓塞を引き起こす原因は次の通りです。
耳掃除による耳垢の押し込み
綿棒や耳かきで耳掃除をする際、耳垢を外に出すつもりが、かえって奥に押し込んでしまうことがあります。これにより外耳道の奥で耳垢が固まり、詰まりやすくなります。
耳に水が入る
入浴や水泳の際、耳に水が入ると耳垢が水分を吸って膨張し、外耳道をふさいでしまうことがあります。特に湿性耳垢(ねばねばしたタイプ)の人では急に聞こえが悪くなる原因となります。
耳垢のタイプ
耳垢には「乾性耳垢」と「湿性耳垢」があります。湿性耳垢は粘着性が強いため、外耳道に付着しやすく、耳垢栓塞になりやすい傾向があります。
補聴器・イヤホンの使用
補聴器やイヤホンを長時間装着していると、耳垢が奥に押し込まれやすく、また外耳道内が高温多湿になり耳垢がたまりやすくなります。補聴器ユーザーや高齢者は特に注意が必要です。
外耳道の病気や形態
脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患により皮膚片(落屑)が過剰に剥がれると、外耳道にたまり耳垢栓塞の原因になります。また、外耳道に骨腫やいぼがある場合、耳垢の排出が妨げられ、耳垢がたまりやすくなります。
耳垢栓塞の治し方・除去方法
耳垢栓塞は、自分で無理に耳かきや綿棒で掻き出そうとすると、耳垢をさらに奥へ押し込んでしまったり、外耳道や鼓膜を傷つけてしまうリスクがあります。そのため、耳鼻咽喉科で安全に除去してもらうのが最も確実で安心な方法です。
耳鼻科での耳垢除去
耳鼻咽喉科では、耳の中をしっかり確認しながら、専用の器具を使って耳垢を取り除きます。
- 耳垢鉗子(かんし):耳垢を直接つまんで取り出す
- 吸引管:耳垢を吸い取る器具
- 耳洗浄(耳浴):硬くなった耳垢を専用の薬液やぬるま湯で柔らかくしてから洗い流す
耳垢が柔らかければ1回の通院で除去できることが多いですが、耳垢がセメントのように固まっている場合は数回に分けて除去することもあります。
定期的なケアのすすめ
耳垢栓塞を繰り返す方や、耳掃除が難しいお子さま、高齢者、補聴器ユーザーは定期的に耳鼻咽喉科で耳のチェックを受けると安心です。3〜6か月に一度の受診で、耳垢がたまりすぎる前に安全に除去できます。
自宅でやってはいけないこと
- 綿棒で耳の奥を強くこする
- ピンセットや爪楊枝などで耳垢を掻き出そうとする
- 市販の耳洗浄液を自己判断で多用する
- 耳垢を溶かすオイルを入れて放置する
これらは外耳道や鼓膜を傷つけたり、耳垢をさらに奥へ押し込んだりして症状を悪化させる原因になります。